教育

新学習指導要領でめざすことは「主体的・対話的で深い学び」、しかし児童生徒の実態は?

投稿日:08/05/2020 更新日:

新学習指導要領の3つのキーワードは「資質・能力」「カリキュラム・マネジメント」「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」です。
カリキュラムマネジメントとは、各学校が教育課程(カリキュラム)の編成、実施、評価、改善を計画的かつ組織的に進め、教育の質を高めることです。新しい学習指導要領が目指すのは、「授業の質的転換」で、その中でも重要となるのが「どうやって子どもたちに主体性を持たせ、深い学びを実現するか」です。

オンライン学習を国が開発へ、「カリキュラム・マネジメント」との関連は?

しかし、今の学校の実態はどうでしょうか?

これまでも生徒不在、保護者も不在、教職員も不在、これが学校の実態でした。
それがますます顕著になっています。
「表面的な形」を残すことだけが目的となっていて、そこに学びはありません。考える時間も与えられないので考える力も身につきません。
教員も児童生徒も「ノルマをこなすだけ」に学校に行っています。文科省や教委の命令に従うだけで、学校オリジナルのカリキュラムマネジメントなどできないのです。
今の学校は時数確保と出席日数だけカウントすることが目的で、規則でガチガチにしばる場になっています。

子どもたちが楽しみにしている遠足、旅行、運動会などの行事がことごとく減らされ、時間割から図工、家庭科などの技術教科は削られ、国語、数学、理科、社会で埋まっています。
しかも、授業中に話し合いはできない、児童生徒は教員が一方的に話す一方通行で、つまらない授業で、一日中我慢して椅子に座っていなければなりません。
さらに、給食や掃除は黙ってしなさい、休憩時間はおしゃべり禁止という禁止事項だらけになっています。
そんな学校って楽しいでしょうか?
私には、学校はまるで「刑務所」のように見えます。
学校は誰のためにあるのか?
学校は何のためにあるのか?
今こそ学校独自のオリジナリティーとカリキュラム・マネジメントを発揮するときだと思いますけどね。
今こそ学校を面白くできると思いますけどね。

平成23年度(2011年度)の学習指導要領より

これが日本の学校教育で目指していることです。
しかし、今の日本の学校でやっていることとかなりの乖離があることが分かります。

子どもたちの「生きる力」をより一層育む
①基礎的な知識・技能をしっかりと身に付けさせます
②知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力を育みます
③学習に取り組む意欲を養います

文科省のいう「生きる力」とは、知・徳・体のバランスのとれた力のこと。
●基礎的な知識・技能を習得し、それらを活用して、自ら考え、判断し、表現することにより、さまざまな問題に積極的に対応し、解決する力
● 自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性
● たくましく生きるための健康や体力 など

新学習指導要領の柱「考える力を育てる」ために最も必要なこと

学校・家庭・地域が力をあわせ、社会全体で、子どもたちの「生きる力」をはぐくむために~ 新学習指導要領 スタート ~新学習指導要領の基本的考え方(保護者用パンフレット詳細版)(PDF)

さて、この10年間で、学校現場において国や県が推進する「生きる力」は育てられたといえるでしょうか。
現状として学校においては、「いじめ」対児童、対教師への「校内暴力」「体罰」、そして「不登校」と、学校を取り巻く問題はますます増加しています。しかも、その傾向は小学校低学年で顕著に増加しています。
この事実を見る限り、とても「豊かな人間性」が育っているとは思えません。

学力についてはこうあります。
学力の重要な3つの要素を育成します
● 基礎的な知識・技能をしっかりと身に付けさせます
● 知識・技能を活用し、自ら考え、判断し、表現する力をはぐくみます
● 学習に取り組む意欲を養います

一律一斉型授業によって知識の教え込みは進んでいます。150年前と変わらないスタイルで、教員が一方的に「覚えさせる教育」が主流です。
「自ら考え、判断し、表現する力」「学習に取り組む意欲」については疑問しかありません。児童生徒自らが考え、それを表現し、意欲的に学んでいるか、相変わらず与えられた課題をいわれたままにこなすだけで終わっています。
児童生徒の実態とその結果はともかく、この10年間で「学習に取り組む意欲を養ってきた」ことになっていますが、実際は違います。
このような10年が経過して、小学校をはじめに2020年から新しい指導要領に基づいた学習が始まっています。

令和2年度(2020年度)新学習指導要領より

「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら,授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう,すべての教科でこの三つの柱に基づく子供たちの学びを後押しします。
主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点から「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」も重視して授業を改善します。
まずは学習する子供の視点に立ち、教育課程全体や各教科等の学びを通じて「何ができるようになるのか」という観点から、育成すべき資質・能力を整理する必要がある。その上で、整理された資質・能力を育成するために「何を学ぶのか」という、必要な指導内容等を検討し、その内容を「どのように学ぶのか」という、子供たちの具体的な学びの姿を考えながら構成していく必要がある。

今年度から「主体的・対話的で深い学び」や「どのように学ぶかも重視して授業を改善」するとしています。
具体的に、それらを実現するには、どんな授業改善をしていったらいいのか、3つの視点を示しています。

「主体的な学び」
学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しを持って粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているか。
「対話的な学び」
子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
「深い学び」
習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているか。


「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善について(仙台市教育センター 授業づくり訪問資料)

令和2年度(2020年度)新学習指導要領

これまで学校では「教員が何を教えるか」という観点を中心に組み立てられていて、相変わらず知識の注入に終わっています。一律一斉型の授業から何も変わっていないのです。
児童生徒の「何を学びたいのか」ではなく、教員が「何を教えるか」という考え方から何も変わっていないのです。
すでに、新年度は始まりましたが、学び方を中心に据えた学校教育が行われているかというとはなはだ疑問です。
学習する側の児童生徒の視点に立った学びが必要です。ここが大きく変わるはずなのです。

これを本当に実現するには、学校や教員個々の創意工夫がより一層必要になります。「教え込む」から「学び方」への大きな転換が必要になります。かつ、教育の質を高めるためには、児童生徒個々の違いにどう対応していかということもとても重要になってきます。これからいかに子どもたちのニーズに対応した学びの場が提供できるかにかかっていると思います。
そのためには、受け身の教員ではない、自己主張できる、教育への意欲と覚悟のある人材を育てていくことが不可欠です。
教育システムの改革ももちろん必要です。ですが、それを作るのも機能させるのも「人」です。人材です。だから同時に、「教育はなんのためにあるのか?」「教育はどこに向かってやるべきなのか?」など教員一人ひとりの意識改革も必要です。

自ら学び考える力を育てるためにも「学びの自由化改革」が必要です

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