教育

就学前からの「入学準備」や「入学までのしつけ」がいじめや暴力を生んでいるわけ

投稿日:25/03/2020 更新日:

今春、小学校入学を迎えられるご家庭では、入学式を楽しみに待たれていることと思います。
テレビでも、ピカピカの一年生向けに入学準備用品や通信教材などのCMが目立つ時期になりました。
今春小学校入学を迎えられるご家庭では、入学式を楽しみに待たれていることと思います。
ですが期待と喜びの中に、少し不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。
「入学準備や入学までのしつけがいじめや暴力を生んでいるとしたら?」について考察しました。

学校におけるいじめの認知(発生)件数は何年生が多いと思いますか?

多分多くの人は中学生が多いと考えているのではないでしょうか。
実はそれは以前のことで、ここ数年は小学生、しかも低学年で増加しています。
最もいじめの認知(発生)件数が多いのは小学校2年生で、小学校1年生でのいじめの認知(発生)件数も増える傾向にあります。
つまり、小学校に入学した時からいじめが始まっているということが見えてきます。

「小1プロブレム」という言葉をご存知でしょうか? 
「小1プロブレム」とは小学校へ入学したばかりの1年生が、集団行動が取れない、授業中、椅子に座っていられないなど、小学校の生活に、なかなか馴染めない状態が数ヵ月継続する状態をいいます。
これまでは、1カ月程度で落ち着いていたのですが、昨今これが継続するようになり、授業が成立しない状況が続くこともあるようです。
前から「小1プロブレム」ということは言われ続けて、それに対する原因も分析され、それに対する手立てもされてきた(はず)です。
「小1プロブレム」も「中二病」も子どもの問題ではなく大人の問題です

資料にある通り、実際には小学生低学年からいじめが始まり、暴力件数も年々増えています。
これをどう見たらいいでしょうか。
私は、この現象は子どもたちからのSOSだと考えています。子どもたちの「助けて!」という心の叫びだと受け止めています。
私は「小1プロブレム」の原因分析や対処法を考え直す必要があるのではないかと考えています。
保育園・幼稚園・こども園と小学校の大きな環境の変化、強制的な集団行動、個の考えや状況よりも集団生活が優先する学校での暮らし、規則やルールが増える、勉強の成績によって序列化され比較による評価を浴びせられるなどなど、それらによって自分で考え行動する場面が奪われていく。自分で考えて行動すると、「自分勝手な行動」「わがままな態度」「みんなと同じことができない」「集団生活を乱す」と注意される。
そんな学校生活や勉強の評価などによって、子どもたちは追い込まれストレスが増えていくばかりなのではないかと考えています。
さらに、学校に入学してからの「発達障害」というレッテル貼りもどんどん増加しています。

2学期の始業式前後に自殺する子どもたちの “SOS” を見逃さないで

日本の「特別支援教育」は排除と隔離の論理で進んでいる

子どもは本来、さまざまなことに興味関心を持っています。
「これなんだろう?」「おもしろそうだからやってみたい!」「なぜこんなことになるのかな?」と、知りたいやりたい好奇心でいっぱいなのです。
しかし、小学校に入った途端にその好奇心も意欲もだんだん薄れていきます。
個々の想いや好奇心よりも集団生活が優先する学校での暮らし、規則やルールが増える、勉強の成績の方が優先られます。
集団行動ができない、校則やマナーが守れない、長時間じっとしてイスに座ることができない、先生の指示が通らない、与えられた課題に素直に取り組めないなどなど、「きまり」が守れない子は「発達障害」というレッテルを貼り、排除と隔離の対象になります。
いわゆる親や学校にとっての「問題児」となります。
「問題児」と認定された子どもはどんな行動をとるでしょうか。
「〇〇しなさい!」「きちんとしなさい!」という親や教員に対して素直に従うでしょうか。
親や教員にとって都合のいい子どもは「よい子」で、都合の悪い子は「いけない子」でしょうか?
「いけない子」を「よい子」にするために就学前から「入学準備」や「入学までのしつけ」を押し付けるのでしょうか。
私は、就学前から集団ルールの決まりや先取りの勉強をさせることが「よい子」になると考えている大人たちの考え方を変える必要があると思います。

子どものいじめの背景には、「いけない子」を「よい子」にするために大人が「よかれ」と思ってやっていることがあります。
大人の「よかれ」が増えれば増えるほど子どものいじめが増えています。
私が低学年児童のいじめ、暴力の増加はこどものSOSであるという理由はこいうことです。
子どもたちはこのような息苦しい窮屈な空間で自分の素直な欲求を満たされない、何事にも我慢して過ごさなければならない学校という環境や人間関係に「NO!」といっているのです。
私はそう考えています。
古くから変わらない日本型の詰め込み教育、一斉平均的な教育制度も含め、全てに時代との乖離、限界が来ているのでは無いでしょうか。これでは、被害者・加害者を量産しているだけのように感じます。
それに気づいて初めて子どもへの対応方法が見えてくると思います。
変えるべきことは子どもなのか、子どもの暮らす環境なのか、人間関係のつくり方なのか、子どもへ接し方なのか。

「学校でいじめがあっても仕方がない」という意識が危険!

「いじめ認知41万件最多更新、認知件数過去最多」の意味するものは何か?

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査

2011年度小中高校が認知したいじめの件数は「中1」がもっとも多かった

2011年度(平成23年度)に全国の小中高校が認知したいじめの件数は、7万231件で、前年度より7,399件減少た。
学年別で見ると、「中1」がもっとも多く15,260件で、次いで「中2」10,652件、「小5」6,813件、「小6」6,615件の順に多い。
中1をピークに学年が上がるごとに減少している。

いじめの発見のきっかけは、「アンケート調査など学校の取組みによる発見」28.3%がもっとも多く、「本人からの訴え」23.4%、「学級担任が発見」18.1%。また、いじめられた児童生徒の相談の状況は、「学級担任に相談」69.5%がもっとも多い。

2017年度のいじめの件数は過去最多を更新し特に小学校低学年が多い

2017年度(平成29年度)に全国の小中高校が認知したいじめの件数は、前年度より9万1,235件増の41万4,378件で、過去最多を更新した。昭和60年度の調査開始以来、過去最多となった。
小中学校、高校、特別支援学校におけるいじめの認知(発生)件数は、前年度比9万1,235件増の41万4,378件。
学校別では、小学校31万7,121件(前年度23万7,256件)、中学校8万424件(前年度7万1,309件)、高校1万4,789件(前年度1万2,874件)、特別支援学校2,044件(前年度1,704件)。
小学校での増加が目立ち、特に小学校低学年が多い傾向にある。

いじめ発見のきっかけは、「アンケート調査など学校の取組みにより発見」が52.8%ともっとも多く、ついで「本人からの訴え」18.0%、「学級担任が発見」11.1%、「当該児童生徒(本人)の保護者からの訴え」10.2%など。いじめられた児童生徒の相談状況は、「学級担任に相談」が79.5%を占めた。


また、小・中・高校における暴力行為の発生件数は小学校での増加が目立っており、4年前から3倍以上に増えている。

鳥取県での学年別いじめの認知件数はどうなっているのか?

学校におけるいじめの認知状況をいじめ・不登校総合対策センターによる「平成29年度県独自調査によるいじめの速報値」についての資料を見ると、
小学校3年生では、約3倍近く認知件数が増加している。
・全国と比較すると、小学校低学年段階のいじめの認知が少ない傾向がある。
全国の調査報告も鳥取県の場合も「学校調べによるいじめの認知件数」であって「どの程度をいじめと考えるか」による違いもあり「発生件数の実態」ではないのですが、傾向としてはこのデータでつかむことができると思います。
・1年間でいじめを1件以上認知した学校は173校であり、全体の78%。
・いじめの認知がなかった学校は49校あり、全体の22%。
いじめを認知していない学校は教職員に見過ごされたいじめ、いじめだと考えていない場合もあると考えられます。

いじめ対策についてはほとんど進んでいない学校

新型コロナウイルス対策として一斉休校措置が取られた全国の小中高校ですが、いじめ対策についてはほとんど進んでいない学校・自治体が少なくないようです。
これまでに何度もいじめ事件が発生していますが、いじめ加害者を放置し被害者には何の支援策も示すことのない教育現場。
事件が起これば形式的な謝罪会見で、何も解決していないのに「完結扱い」。
これ以上の加害者も被害者も出さないためには、教育業界に抜本的な改革が必要です。

コロナウイルス問題でいじめ問題は報道されていない状態が続いているが、休校状態となっても、いじめ問題は日々発生している
学校が行ういじめ加害者へのプログラムなどはほとんど活用されていない。
もはや、いじめは被害者を量産し続け、加害者を歪んだ教育で放置している状態である。

探偵が警告。新型コロナと休校解除が「いじめ被害者」の心を殺す

古くから変わらない日本型の詰め込み教育、一斉平均的な教育制度も含め、全てに時代との乖離、限界が来ているのでは無いでしょうか。これでは、被害者・加害者を量産しているだけのように感じます。
コロナは私たちに学校がこれまでやってきた「子どもの教育」にとって意味のないこと、無理していることを教えてくれています。
今こそ「子どもの教育とは何か」「学校は何のために、誰のためにあるのか」学校教育のあり方を見直すチャンスです!

女子小学生暴行事件の酷すぎる顛末。学校も教育委も「加害者側」

参考資料

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
平成23年度から平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果資料あり

平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(PDF)

児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査データ集

鳥取県いじめ・不登校総合対策センター「H29年度鳥取県独自調査によるいじめの速報値」について
1 いじめ認知件数の推移( H25 – H29 )
2 学年別いじめの認知件数
3 学校におけるいじめの認知状況
教育相談体制充実のための手引きについて(平成30年7月18日)

2011年度小中高校のいじめ「中1」が最多、女子よりも男子に多い

2017年度いじめ、小中高で過去最多41万件…目立つ小学校低学年

2018年度【問題行動調査】小学校で暴力8221件増 低年齢化に憂慮(教育新聞)

学校での子どもの暴力行為件数 いじめよりも大きな地域格差(内田 良)

「小1プロブレム」にならないために知りたい、原因と親ができる7つの対策

「日本型」いじめの構造を考える

子どもにいじめ問題が発生! 解決のための証拠集めや話し合いに「録音」を役立てよう

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