社会問題

相模原障害者殺傷事件「障害者はいないほうがいい」なんて言われない社会作りを

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相模原障害者殺傷事件に関してテレビや雑誌、ネットなどのメディアでは容疑者が措置入院していたとか精神疾患があるとか大麻を吸っていたとか、そんなことばかり報道しています。

そして、あたかも容疑者が精神疾患があるとか大麻を吸っていたことが事件の要因になっているかのような取り上げ方をしているところまでありますが、全く間違った捉え方です。
精神科の医師や専門家までそのような解説をしていることには恐怖さえ感じます。

表面的なことだけを追いかけて、ドラマ性を表現しているだけで、読めば読むほどメディアの無責任さを感じられずにはおれません。というか、このようなセンセーショナルな面だけ取り上げて発信する報道は「害」にしかなりません。
ことの本質はそこではありません。

渡邉琢さんが、「相模原障害者殺傷事件における社会の責任と課題」として事件の本質に迫る投稿をしています。
すべての人に読んでもらい、私たち一人ひとりがどう受け止めて、何をしていかなければならないのか考え、行動していきたいです。
(以下、投稿より抜粋)

・今回の事件を彼の特殊性の問題として片付けてしまう態度にこそ、この事件の本質がある
・彼の思想を特殊だと切り捨てている限り、同じことが起こり続ける
・容疑者の思考の道筋は、彼固有のロジックではなく、現在の社会のあり方、あるいは人々の障害者に対する意識によってつくられている
・現実には、胎児に障害があるとわかったら中絶を選ぶ率が90パーセントを超える社会、これは「障害者は生まれてこないほうがいい」ということを意味する
生まれる前から、死にいたるまで、障害者のまわりには、「いないほうがいい」というメッセージがいたるところにある社会
・隣近所の目、そして介護の負担、そうしたものをカバーしてくる支援がなかったからこそ、障害者を厄介者扱いせざるをえなかった
・私たちは、「障害者はいないほうがいい」という差別意識の連鎖の中に生きている。人生の全過程で、「障害者はいないほうがいい」というメッセージがいたるところで発動しているのだと思う。
・今年4月より、障害者差別解消法が施行された。社会、経済、文化、あらゆる領域で、「障害者はいないほうがいい」なんて言われないための法律だ。
・障害者が生まれてくることも地域社会で当たり前に暮らすことも阻害されない社会を実現させることが、本当の問題解決

として、最後に「今回亡くなられた方への本当の追悼になること」についてで終わっています。

昨日の日本海新聞にも、この事件に関して二名の考察が掲載されていました。
吉岡忍氏がいうように、「これは、刑事事件ではなく社会事件、政治的事件だ。その背景には異論や邪魔者や障害者の排除と抹殺を目指す政治的風潮の身勝手さと軽薄さ」が招いた事件である。
「このような政治的風潮の身勝手さと軽薄さを変えなければ、これからも何度も起きるだろう。」

私も、これは社会に潜んでいる排除と隔離、差別意識と政治的な欠陥が要因となった事件だという認識をしています。

芹沢俊介氏は、容疑者の内的な変化について触れています。
「容疑者は自分を『抹殺』し、自分への憎悪、自己破壊感情を身近にいた障害者に投げつけた。そのように至るまでの彼の危機的な状況に誰一人関わることができなかった」
事件の背景や本質を明確に見ることはできないまでも、二人のような事件の容疑者を生んだ社会背景についての考察には納得ができます。

また、遺族の方が被害者の実名を公開しないで欲しいという背景にも、障害者を排除、隔離しようとする社会的な風潮があることも理由の一つであることは間違いありません。
渡邉琢さんは、「障害者は死においても差別されるのか」という表現を使っています。

障害者差別解消法には、学校、事業所、社会環境すべてからの「社会的な障壁の除去」も義務化されています。
社会的障壁とは「障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限をもたらす原因となる事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」をいい、物理的な障害のみならず、人間の考え方やものの見方、意識も含みます。

「障害のある人は施設や病院で暮らしたほうが幸せだ、障害のある人は施設や病院に閉じ込めるべきだ、障害のある人は結婚や子育てができない」という考え方も社会的障壁のひとつです。
この法律以前にすでに障害者権利条約や障害者基本法も制定されてはいますが、その実現んは程遠いというのが現実の社会です。
法律ができたからというのではなく、私たち一人ひとりが持っているこのような慣習・慣例などの社会的な障壁をなくしていく必要があります。

そのためには、自分の職場、自分の子どもが通う学校、自分たちの暮らしている地域の中で「障害者はいないほうがいい」みたいなメッセージが出てないか、常に点検することが大事です。
そのようなことを見聞きしたときに自分がなにができるか考え、その場でできることをしていかなければなりません。

亡くなられた方々は、なぜ地域社会で生きることができなかったのか?
――相模原障害者殺傷事件における社会の責任と課題
渡邉琢 / NPO日本自立生活センター自立支援事業所

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