教育

学校システムそのものが不登校を生んでいるという認識が必要

投稿日:03/02/2018 更新日:

2016年(平成28年)9月14日には文科省が全国の自治体や教育長宛に「不登校は問題行動ではない」という通知を出しています。

1 不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方
(1)支援の視点
不登校児童生徒への支援は,「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要があること。また,児童生徒によっては,不登校の時期が休養や自分を見つめ直す等の積極的な意味を持つことがある一方で,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意すること。

ここはすごく重要です。不登校児童生徒への支援はなにを目指して行うのかという部分です。
「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある。

つまり、めざすことは「学校復帰」のみではなく、「社会的自立」だということです。
はたして実際にはこのような「社会的自立」を目指した支援になっているでしょうか。「学校に戻せばいい」「学校に来さえすればいい」という指導がなされてはいないでしょうか。

報告においては,不登校児童生徒を支援する上での基本的な姿勢として,
(1)不登校については,取り巻く環境によっては,どの児童生徒にも起こり得ることとして捉える必要がある。また,不登校という状況が継続し,結果として十分な支援が受けられない状況が継続することは,自己肯定感の低下を招くなど,本人の進路や社会的支援のために望ましいことではないことから,支援を行う重要性について十分に認識する必要がある。

「不登校である状態」が悪いのではなく、「十分な支援が受けられなくなる」ことによる自己肯定感の低下が起こる。
そこで、十分な支援が必要であるということです。

(2)不登校については,その要因や背景が多様・複雑であることから,教育の観点のみで捉えて対応することが困難な場合があるが,一方で,児童生徒に対して教育が果たす役割が大きいことから,学校や教育関係者が一層充実した指導や家庭への働き掛け等を行うとともに,学校への支援体制や関係機関との連携協力等のネットワークによる支援等を図ることが必要である。

注意しておきたいことは「充実した指導や家庭への働き掛け」とは登校を促すいわゆる登校刺激や本人が望まない一方的な声掛けなどの対応になっていないかということです。
さらに「ネットワークによる支援等を図る」とあるように、学校の教職員だけでは限界があるので、関係各機関との有機的な連携が必要です。しかし、現実はどうでしょうか。

(3)不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが,児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要 であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。

ここが最も重要なところです。
「不登校状態になっている行為を『問題行動』と判断してはならない。」
・不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭すること
・学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つこと
・このことによって、児童生徒の自己肯定感を高めることにつながる
・周囲の大人(これは学校の教職員のほかいろいろな人たち)との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながる
・これらの「結果として」児童生徒の社会的自立につながる

「不登校児童生徒への支援に関する最終報告」「児童生徒理解・教育支援シート(試案)」(PDF)を出しています。
「~一人一人の多様な課題に対応した切れ目のない組織的な支援の推進~」(PDF)より抜粋

それに対応した学校での取り組みもされている「はず」です。
2017年(平成29年)2月14日に「教育機会確保法」が施行されて1年が経過します。
しかし、法律が成立したからといって、その理念がすぐに実現されるわけではありません。

現実はどうでしょうか?
「不登校は問題行動ではない」という認識は広まっているでしょうか?
あなたは学校へ行っていない子や行かせていない家庭のことをどう思っていますか?
学校へ来ない児童生徒への学校の教員の見方や対応の仕方はどうでしょうか?
自治体や学校の考え方が変わり、共感的理解やそのため対応や場作りは進んでいるでしょうか?
そして、何よりも「不登校」の子どもに対する「世間の目」はどうでしょうか?
学校へ行かないのは「不登校児童生徒が悪い」という根強い偏見は払拭できているでしょうか?
すべての子どもに対して義務教育機関での「普通教育」の保障はできているでしょうか?

では、この法律をを実行するために何が必要なのか?
誰が何をすべきなのか?

この法律の最も重要な部分は、学校以外の学習も認められる社会を作ることです。
個に応じた学びの環境を作っていくことです。
今の日本の学校教育の仕組みを変えない限り、不登校の児童生徒は減ることはありません。子どもを学校に適用させようとする方法が間違いである、学校システムそのものが不登校を生んでいるという認識のもと、あらゆる教育の場を作っていく必要があります。

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の公布について(通知)

不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

スポンサーリンク

スポンサーリンク



スポンサーリンク

スポンサーリンク



-教育

執筆者:

関連記事

福岡の小学校 校長、町議に「いじめ」情報漏らす いじめ防止対策推進法が機能していない

校長は、町議に児童の氏名やトラブルの概要などの個人情報を明かして相談。 町議は父親と面会し「丸く収めてほしい」などと提訴や転校を思いとどまるよう説得したという。 校長は「法的措置を取れば、双方の子ども …

鳥取県教委の提案している「教員の働き方改革プラン」って改革でもなんでもない

今日は鳥取県教育研究大会に参加しました。 その中で県教委から「学校業務カイゼン活動と教員の働き方改革」についての説明と提案がありました。 はじめに担当者から「この鳥取県版 学校業務カイゼン活プラン、校 …

自己肯定感とは、他者との比較、ましてや優劣から得られるものではない!

竹内さんに同感です。 自己肯定感とは、他者との比較、ましてや優劣から得られるものではありません。 「テストの点数がいいから自己肯定感が高い」などという分析はまったく偏見に満ちています。 竹内 延彦さん …

本田秀夫先生「自閉症スペクトラムの二次障害の発現と予防のために」

本田秀夫先生が自閉症スペクトラムの「二次障害の発現と予防」のための対応の仕方について簡潔にまとめています。 (以下、基調講演の内容から抜粋) ・幼児期までにわずかにでもASの特性が認められた場合、成人 …

「スマホは偏差値を下げるから使うのをやめよう」の理由にはならない、これには反対です

“スマホが学力を破壊する”これだけの根拠を読みました。しかし、この分析はあまりにも乱暴です。 まるで全国学力テストの分析と同じで、まず「学力=学力テストの偏差値」としていること …

スポンサーリンク

スポンサーリンク